今はあらゆるところで価格競争が起きているため、小さな会社や個人が市場で戦っていくためには付加価値をつけることが必須になってきています。
「付加価値をつける」というと、単純に商品やサービスの質をより良くして値段を上げる、と考える人が多いのでないでしょうか。
ですが、それだけでは本当の意味で付加価値をつけることにはならないのです。
質を良くしたはずなのに売れない・・・。それは「付加価値」が顧客の求める価値とは違うところにあるからです。
付加価値は、顧客が本当に求めている価値に上乗せすることで本当の意味で付加価値を付けていることになります。
この記事では、顧客目線での付加価値、本当の付加価値のつけ方を具体例とともに解説します。
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付加価値とは
冒頭でも書きましたが、付加価値はただ単に「つけ足す」ものではありません。
その消費やサービスを使う顧客にとって、必要な価値をつけ足すことで”他にはない独自の価値”を提供することです。
独自の価値に顧客が魅力を感じたら、高い値段でも購入に至ったり、サービスを利用したくなるわけです。
付加価値には次で説明する3つの種類があります。
自分の商品やサービスにはどれが当てはまるのか、考えながら読んでみてくださいね。
・機能的価値
機能的価値は、サービスや商品の機能、性能につけられた価値のことです。
機能的価値が付加されることによって、顧客の悩みや課題を解決できるときにこの機能的価値を推し出します。
例えば掃除機はごみを吸い取る家電ですが、今や購入の決め手は「音が静か」「吸引力が落ちない」「軽い」などの機能的な付加価値にあるのではないでしょうか。
加えて例を出すと、布団やマットレスも今では単なる「寝具」ではなく「上質な羽毛が使われているもの」「コンパクトに収納できる」「腰痛の負担を軽減する」「ソファーベッドとして2wayで使える」など、機能的な付加価値がなくては売れなくなってきているのです。
技術が進歩してきた現代の消費者は、最低限の機能や性能だけでは満足できず、機能的、性能的な付加価値によって選択しています。
ですが、機能的性能的な付加価値を付けるにはコストがかかります。その為、小さな会社や個人の商品やサービスに機能的価値をつけるのは難しいんですね。
・感情的価値
感情的価値は、商品やサービスを利用することで得られる感情的な価値のことです。
コストが十分にかけられない小さな会社や個人事業主は、こういった感情的価値に重きを置くことが重要になってきます。
人が、何か商品やサービスを購入するとき、人によって、場所によって、状況によって有益だと感じる部分は違います。
例えば、コンビニで買うコーヒーは120円に対して、おしゃれな洗練されたカフェで飲むコーヒーは600円と高いですよね。ですが、顧客が価値を感じているから600円のコーヒーでも飲まれるんです。
おしゃれで洗練された空間に高級感を感じる、カフェの雰囲気が好き、カフェでコーヒーを飲むというワクワク感、など、このカフェでコーヒーを飲むことでこういった感情的な価値を得ることができます。
更に例を挙げると、同じ「髪を切るサービス」を提供している1000円カットと美容院では顧客が感じる価値がまったく違います。
1000円カットは”早く””安く”切りたい人が価値を感じて、美容院はおしゃれな空間、安心して任せられる美容師さん、シャンプーやトリートメントなどカット以外の技術、にも価値を感じていますよね。
こういった感情的価値は、商品やサービスのファンになってもらうためにも効果的です。
・感情的価値
USPの理解が深まったところで、実際のUSPの事例を5つご紹介します。
有名な起業のUSPを知ることで、この商品を買う顧客がどこにベネフィットを感じているのかも知ることができますよ。
・自己表現的価値
自己表現的価値は、そのサービスや商品を使うことによって自己実現や自己表現になる価値のことを言います。
雑誌で好きな女優さんが来ていた服を買えば、憧れの女優さんに近づけた!という自己実現的な価値が得られますよね。
例えばMacのパソコンはIT系の人に人気です。機能的価値を感じている人ももちろんいるでしょう。ですがMacを持っていることで「洗練されたイメージを持ってもらえる」「できる人に見えそう」という自己表現的価値を感じている人も多いです。
これら3つの付加価値を持っていることで、ブランド力は底上げできます。
iPhoneはこの3つを持っている典型的な商品ですね。
スマホとしての最低限の機能はもちろん、操作性やカメラなど充実した機能(機能的価値)に加えて、洗練されたデザインにかっこよさと、Appleという大手企業の安心感(感情的価値)、そして最新のiPhoneを持っていることで最先端のライフスタイルを送っている(自己表現的価値)というような、3つの価値がすべて揃っています。
付加価値をつけるためには
上記3つの付加価値について知ったところで、具体的に付加価値はどのようにつけていけばいいのか考えていきましょう。
ここでは3つの重要なポイントについて解説します。
・機能的価値よりも感情的価値を重視する
上記でも触れましたが、機能的価値を極めるにはコストがかかりすぎる為、小さな会社や個人事業主には難しいでしょう。
コストが十分にかけられない場合は、感情的価値や自己表現的価値を重視した方が価格競争に巻き込まれず、唯一の付加価値をつけることができます。
・絶対価値と相対価値を知る
”価値”には「絶対価値」と「相対価値」があります。
絶対価値は「他のものと比較ができない価値」
相対価値は「他のものと比較した時に生まれるそのものの価値」
例えば、おしゃれで高級なレストランは、その”高級さとおしゃれな空間”が”絶対価値”になりますが、高級レストランに行き慣れている人であれば「いつものレストラン」にしかならない場所が、特別な日にしか利用できない人にとっては「特別な空間と時間」になりますよね。
このように他と比較することで現れる価値が相対価値です。
より分かりやすくお金で例えてみましょう。
10万円には”10万円分の価値”があることが”絶対的”ですが、年収300万円の人と年収1億円の人なら10万円の価値の大きさは異なりますよね。
これも人と比べたときに現れる相対的な価値となります。
・相対価値に付加価値をつける
つまり、絶対価値を高めることよりも、相対価値に付加価値を付けた方が顧客に響きやすいということです。
相対価値は、人によって、状況や目的によって高めることができるため、コストをかけずとも価値を感じてもらいやすいんですね。
深夜営業しているスーパーがない地域で深夜営業をおこなえば、その地域の顧客を独占できるでしょう。
スマホもどんどん機能的な進化を遂げていますが、反対にらくらくスマホやキッズスマホという、余計な機能をそぎ落としたスマホも売れているんです。「高機能でなんでもできるスマホ」というイメージに対して相対的な価値を感じているからですね。
このように、市場の中で自分だけが提供できる価値を見つけ、競合との差別化を図ることが重要です。
・顧客が求めている価値を知る
これまでお話してきたことから、顧客に選んでもらえる付加価値を付けるためには、顧客が求めている「本当の価値」を知ることが大切です。
「誰が」「どんな目的で」「どんな時に使うのか」を明確にイメージすることで、他社と差別化できる相対的な価値を付けることができます。
例えば、”共働きで忙しいため、手軽に温めるだけで食べられる冷凍食品を求めている人”に”常温で解凍して調味料を揉みこみフライパンで両面こんがり焼いてパリパリの食感を楽しむ”というような”調理を楽しみ、出来立てを味わう”ような価値は求められてないですよね。
さらに言うと、”共働きで忙しいけど、栄養値の高い食事で家族の健康も維持したい!” という意識の高い経営者や個人事業主には、どんなに健康的な料理が作れても手間暇・時間のかかる料理法は求められていません。
それが理想であったとしても、現実問題として、”常温で解凍して調味料を揉みこみフライパンで両面こんがり焼いてパリパリの食感を楽しむ”というような”調理を楽しみ、出来立てを味わう”という時間がないので、ニーズを満たしていないことになります。
その人たちが求めているのは、時短なのに、健康的で、継続できる料理法が求められていますね。
これが、本当の課題を解決する「価値」です。
健康的な食材×ほっとけば料理が完成!
健康×時短ができる、ヘルシオ、などが高価でも、バカ売れするのはそういう理由なのです。
続いて車の例も挙げてみましょう。
家族連れで車を見に来た人に、小回りの利く軽自動車やスピードの出るスポーツカーは求められていないんです。
必ずしも商品の品質を上げることが顧客が望んでいることとは限りません。
品質を上げるならば、顧客が望んでいる部分の品質・スペック・●●しやすさを上げることを意識しましょう。
つまり、自社の商品やサービスを使う人がどういう人なのか、明確にイメージができれば、その人がどこに価値を感じるのかが見えてくるのではないでしょうか。
③ターゲットのニーズを知る
最後に、これは一番重要なターンです。
お客様が何を求めているか、この商品で得たいベネフィットは何かを知らなければUSPを作っても響きません。
このサービスや商品によって、どのような悩みを解決したいのか、どんな未来を手に入れたいのかをとことん掘り下げて考えてみましょう。
ただ、機能性やクオリティの面でのメリットだけではなく、感情的な面で得られるメリットを考えてみることがおすすめです。
自社で考えてもピンとこない場合は、実際のお客様の声を聞くことで本質的なニーズを知ることもできますよ。
個人事業主、中小企業は付加価値をどのように表現していくか
それでは一般的に予算が少ない個人事業主、また、限られた予算で最大限のリターンを得たい中小企業は、どのように付加価値を表現していくべきなのでしょうか。
個人事業主は特に、感情的価値や自己表現的価値に重きを置くことが大切です。
例えば、輝かしい実績や経験豊富な実績が見せられれば、顧客は安心感を感じます。これは感情的価値になりますね。
自分のありのままの考えを発信したり、なぜこの仕事をするようになったのかなど、ストーリーを語ることによって、あなたの考え方や思いに共感した人が申し込んでくれるかもしれません。共感という感情的な価値と、この人みたいになりたい!という自己実現的な価値も含まれるでしょう。
また、中小企業の場合は、社長の想い、理念、こういったものを発信することによって、会社という組織体でありながら「会社としての個性」を伝え、共感を得ることができます。
そのサービスや商品に関する知識、最新情報などを積極的に発信していくことで「この人のサービスや商品は最先端なんだ」「知識豊富で頼りになりそう」と価値を感じてもらえます。これも自己表現的価値、または安心感という感情的価値も含まれますね。
また、実際にあなたのサービスや商品を利用したお客様の声は強力です。複数人の声を集めれば、あなたのどこに価値を感じてくれているのか、あなた自身も把握がしやすく、機能的価値、感情的価値、自己表現的価値それぞれを新規顧客に間接的に伝えることにもなります。
まとめ
付加価値をつけること、少しイメージがわいてきたでしょうか?
理論的に解説してきましたが、要は「お客様が本当に求めている価値がどこにあるのか」を明確にすることが大切です。そしてそのためにはお客様を知ることも重要ですね。
ただ、商品やサービスの質を上げることが”付加価値”ではないのです。
特に高機能、高性能、低価格が実現しづらい個人事業主にとっては、相対的な価値を提供することが必要になってきます。
ありきたりなことにも価値を感じてくれるお客様はいるはずです。そのお客様に届けるためには顧客目線で、機能的価値、感情的価値、自己表現的価値を設計していく必要があります。
ミライズでは、あなたの提供するべき価値がどこにあるのか、一緒に考えてあなたのサービスや商品をブランディングするサポートをいたします。
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